交響的運動第6番【悲愴】

 『そんなん指示してないで・・・』

こんばんは、音楽雑貨店プレリュード 店長の藤岡です。
 

毎日乱高下のお天気ですが、でも少し長い目で見ると、着実に夏に向けて気候が移りゆくように感じる今日この頃、プレリュードのすぐお隣の学校では、運動会の準備に余念がないようで、毎日生徒たちが体育の予行練習をしています。
ちなみに店長が子供の頃は、春の小運動会・秋の大運動会と年に2回も運動会があったのですが、最近は春1回に統一されたみたいです。あ、でも、運動会で活躍できなかった店長には、春も秋もあまりいい想い出はありません。
 
さて、心地よい気候を全身で楽しむような子供たちの大声がこだまする中、プレリュード社内では窓を閉め切り、検品・出荷・写真撮影・商品企画・などなどスタッフ総出で地道に作業を行っています。その殆どがプライベートで合奏や楽器を楽しんでいるスタッフなだけに、作業中はなにかしらBGMを掛けています。(正確に言うと、店長が勝手に自分の好きな曲を聴いているだけだったりする・・・)
事務所は簡易防音室なので、大音量のBGMでも外に迷惑は掛からないハズですが、曲に聴き入ってしまって作業に支障をきたすといけないので、音量は控えめにしています。

 
数日前のこと、その日のBGMは、チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」でした。あの有名なファゴットのソロで始まる曲です。店長のとても大好きな曲の1つなのですが、その一方で20年近く前に例のソロを吹いてみんなに迷惑を掛けた記憶が甦り、今でもとても心苦しくなる曲でもあります。あのときは、「悲愴」というより「悲惨」だった気が・・・これもあまりいい想い出ではありません。

 
でも、CDを端から聞くだけならば、やはりとても良い曲です。いろいろな演奏家のディスクを聴き比べるのもクラシックの醍醐味ですから、その日はムラヴィンスキーの演奏をチョイスしました。
 

優雅だったり、激しかったりする1楽章は、ドラマティックすぎて仕事のBGMには少々難がありますが、それを過ぎると、チェロの五拍子の主旋律が美しい第2楽章に入ります。これはBGMにもグッドです。熱演のムラヴィンスキーさんには申し訳ないのですが、店長は心地よく聞き流しながら仕事を進めていきました。

 
ところが、次の物憂げなメロディー、Con Dolcezza e Flebile に移ると、なにやらちょっとした異変を感じ、仕事の手を休めて聞き耳を立ててしまいました。
ここは弦楽器のメロディーの裏で、ティンパニファゴットコントラバスがD音で4分音符を刻んでいます。でもこの刻みの音量が凄く変な調子で揺れるのです。昔 演奏したときの経験からすれば、テヌート気味で抑揚を余り付けない場面だった気がするのですが、とても妙で不規則な強弱があるのです。ムラヴィンスキーってこんな演奏だったっけ???

 
???マークはしばらく脳裏を回り続け、原因がわかるまで1分近くを要しました。
???の原因は・・・ 運動会でした。

 
おとなりの体育館では運動会準備の真っ最中、バスドラムを使って三三七拍子の練習をしていたんです! それが悲愴のD音の刻みと偶然にテンポが一致して合わさって聞こえていたんです。五拍子と三三七拍子では、強拍があわずに、不気味な刻みになってしまったのでした。

原因が判明しててホットしましたが、一瞬自分の耳を疑う出来事でした。