気の置けない人

クラリネット吹きってどんな人?

 
さて、急に冷え込んできた数日前のことです。
珍しく都内で仕事があったプレリュード店長(♂)、2,3用事を片付けて事務所へ帰る20時過ぎ。電車賃が割安なJR方面に歩いていたのに、急に思い立って地下鉄方面へと踵を返しました。ただ何となく、直感的に地下鉄に足が向いたのです。

電車に乗ると運良く座れたので、そのまま終点まで本でも読もうかとカバンを探っていると、斜め向かいに居眠りする中年(?)ビジネスマンの姿が・・・その寝顔は学生時代の音楽仲間でクラリネット吹きのH君に瓜二つ!

もしかしたら、世の中にはとってもお上品な学生オケとかもあるのかもしれませんが、店長の知る限り、学生の音楽団体というものは、少なくとも管楽器の連中は、四六時中行動を共にして、楽器を演奏しているか、飲んでいるかのどちらか。部屋の片隅で飲み潰れて眠りこけている輩も沢山いるので、寝顔もさんざん見ています。
 
  『間違いなく本人に相違ない!』
 
店長の直感がそう耳元で囁くものの、声を掛けて起こした相手がもし赤の他人だったら!と思うと、取り敢えず見守るしかできない店長でした。
 

H君は元々海外志向がつよく、就職直後も海外出張が多く、その流れで海外勤務が多いです。
シンガポールに赴任したときには、店長が旧友を集めて大壮行会をやったのですが、突然に主役のH氏だけが来ない、という異例の事態もあったりしました。そんなこんなで、間際に連絡してくることが多く、タイミングが読めないので、なかなかお目に掛かれない人物なのです。
 
ある晩の電話では・・・

 H氏 「いやー、今度はオーストラリアに行くことになってさ」
 店長 「おお、おめでとう。今度こそ主役臨席の壮行会をやらなきゃね。で、いつ発つの?」
 H氏 「ありがとう。でも明後日なんだよね、成田。明日も会社の連中と飲むから・・・」
 店長 「それじゃ、駄目じゃん!」
 
そんな会話から3年経っての偶然の再会は、男女の仲なら運命的なものを感じるのかも知れませんが、中年を過ぎた男同士だと何のロマンスもありませんし、むしろ要りません。とりあえず、電車止まった振動でむっくり首を起こすのを待って、寝ぼけてキョロキョロ見回すH君に手を振ってみました。すると10秒くらいのタイムラグののち、「おおっ」とか言って、H君はこちらに気付きました。
 
 店長 「おお、やっぱり、Hだね。」
 H氏 「なんでこんなところに居るの?」
 店長 「そりゃぁ、たまには都内での仕事もあるからねぇ」
 H氏 「お店の方はどうよ??」
 店長 「まぁ、ぼちぼち・・・かなぁ」
 
その後は、お互い音楽仲間の消息なりを終点まで語り合い、近々飲む約束をして別れたのでした。何年離れていても、会えばすぐ打ち解けられるのは音楽仲間のよいところだと思います。残念ながら演奏するのをやめてしまった人々も、飲むのだけは続けています。みなさんの音楽仲間も気の置けない方々ばかりですか?
 
・・・さて、H君との飲み会が実行できるのは、いつになるでしょうねぇ。
なにぶんタイミングの読めない男にて、次の海外赴任の時かなぁ。